先週末、所用で大阪へ出かけた折、京都を回って帰ってきました。
宿泊先の宝ケ池「グランドプリンスホテル京都」は、村野藤吾氏の設計で、かねてから一度泊まってみたいと思っていたホテルです。周辺環境になじませたプライバシーの高い計画は、ゆったりとくつろぐことができるものでした。
写真の宴会場のロビーには、村野氏の設計したプリンス系のホテルに共通する優しいきらびやかさがありました。
しかし、基本設計までで村野氏の遺作となったこと、さらに近年経営がかわったことなどからか、村野氏の建築としては少し物足りなさも感じました。独特の包み込まれるような優しい空気は感じ得なかったのです。
そこで、竣工まで建築家が指示し得たかどうかということが、空間の質と密度、建物の完成度を左右するということを実感しました。
生前の村野氏はよく原寸模型を作られ、現場で階段を作り直しされることもあったと聞いています。それ故、オリジナリティの高い空間設計をなし得たのであろうと考えます。